3.11、あの未曾有の大災害の日から3年がたった。
構造設計事務所のスタッフだった頃、東北に建つ多くの建築物の構造設計・監理に携わらせてもらった。
その中の2つの建物に思いを馳せた。
1995年11月設計開始、1997年9月竣工「気仙沼市総合市民福祉センターやすらぎ」
3階より下の部分が完全に津波に飲み込まれるも、鉄筋コンクリートの頑強な構造により建物は無事であった。
画像は2014年5月のものである。
市民からは一日も早くの再開を望まれていたが、2014年6月時点で建物は取り壊され更地となっていた。
周囲は地盤かさ上げの工事が進行中である。
名取市閖上地区の海岸近くに建つ「名取市斎場」1993年設計開始、
1995年3月竣工で1997年の日本建築学会作品選奨を受賞した建物である。地区を襲った津波により辺りは水没してしまった。
建築の際、建物周辺に築山を盛り土したこと、壁式鉄筋コンクリート造という頑強な構造体であったこと、設備の盤系統が2階にあったことなどから、震災後2週間程度で稼働することができた。
但し、露前ホールから待合ホールへと繋がる鉄骨造の渡り廊下は流され、内装は無茶苦茶になり無残な姿をさらしていた。
2013年2月、設計者である針生承一さんの多大なご努力などにより、見事復活!
災害時に屋上に避難できる階段も設置されたそうである。
意欲に燃え設計した建物の一方は消え、もう一方は復活した。
さらに、その場に私自身は居ない。
何か、無力感のようなものを感じられずにはいられない。
そんな一設計者の感慨などどうでもいい。
これからを大事に「災害対策」を考えたい。